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「春のひまわり 春のアサガオ」 3

 スズカは中学高校と女子校で三人姉妹の真ん中な子だ。京都の出身で、通っていた学校は結構お嬢様学校らしい。父親は大阪の商社で働き、海外出張などで家にいない事も多く、家は母親と姉妹の女だらけの家庭だったそうだ。
 親はスズカを大学に行かせたかったみたいだけど、スズカは勉強が嫌いで毎日机に座って小説を書いているような子。勉強よりも自分の好きな事をしたくて専門学校に入ってきた。父親がスズカに甘く、最終的には父親が折れて大学進学はなくなったとスズカは笑いながら話してくれた。

 私が専門学校に入って初めて出来た友達がスズカで、4月から7月くらいまでは色んな話を二人でした。

 ・スズカは中学の時にいじめにあい、それで登校拒否になった過去がある事。
 ・そんなスズカを勇気づけたのは親でもなく、友人でもなく、実在の人間ではない漫画のキャラクターである事。
 ・高校時代、同人誌の世界にハマり、自分も同人作家デビューをし、好きな漫画やアニメのキャラで百合小説を書いてコミケなどに参加している事。

 そして、彼女は極度の男性嫌いである事。

 スズカは6月の終わりにこんな事を言っていた。
「今度、ウチの高校の時の友達の誘いで合コンに行くんよ。友達は東京の大学に入ってそこで漫画サークルに入ってんねん。ウチは合コンなんて絶対イヤやと言ったんやけど、その子が参加する人は男も女もみんな二次元好きやから安心しいやと言っててなあ、要はオタクのオフ会やねんな(笑)」
 スズカは男を隣に座らせないという条件なら参加してもいいと友人に伝え、友人もどうしてもスズカには来てほしいという事で、その条件をOKしたと言っていた。詳しくは聞かなかったけれど、どんな合コンかわからない私は頭の中で「みんなコスプレとかして参加するのかなあ」などと、よくわからない想像をしていたのだった。

 その後、スズカからは合コンの翌日に「合コン、いやオタクのオフ会無事終了」というメールがあっただけだ。学校にも来てないし、メールも電話もその後はない。スズカはiPhoneを使ってTwitterをやっているのでチェックしているのだが、こちらもずっとつぶやきがないまま。

 心配そうな、いや唯はいつも顔つきが深刻そうだからこの顔がデフォなんだろうけれど、そんな唯を安心させるために私は嘘をついた。

「スズカはなんかね、いい人が出来たみたいで学校どころじゃないみたい」

 真面目な性格の唯はかえって心配そうな顔になり、
「えっ、マジで?スズカって男が苦手なんじゃなかったっけ?どういう事?相手は誰?」
と興奮気味にまくし立ててきた。私の嘘は逆効果だったみたいだ。

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