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別府の温泉街

 大分県の別府は温泉で名高いところであるが、駅は普通の高架駅でホームも二面あるだけの中間駅。駅前も過剰なほど土産屋があるわけでもなく、どちらかと言えば落ち着いた風情である。
 海の方角に向かって緩やかな下りになっている駅前の道の途中に、小さな銭湯みたいな建物がある。「駅前高等温泉」というその温泉は、浴室も小さく開業は大正と古い建物だが、朝から営業しているのが特徴である。関西から大分に向かう寝台特急「彗星」で早朝大分に降り立った時に、この温泉で朝風呂の浸かった。

 別府という所は駅を挟んで山側には地獄めぐりと呼ばれる色の付いた源泉が吹き出す場所があり、海側は観光ホテルが林立しているという、二つの風景があるのだが、そのホテル群がいずれも大きく、また建物の感覚にゆとりがあるからかスケールの大きい風景に見える。その建物と広々とした海の眺めが少し異国情緒だ。しかし、温泉街の裏道に入れば、そこは日本の温泉繁華街の正統風景が展開される。ピンク色や黄色などのネオン看板。呼び込みの男性。少し薄暗くなってまだ夜の始まりみたいな時間であっても、既に温泉の夜は始まっているのだ。
 そんな場所の一角に、竹瓦温泉という重厚で大きい共同浴場がある。明治に開業し、昭和13年に改築したという建物は寺院を思わせる形。改築前は屋根を竹で葺いていたという事で、これが名前の由来であるそうだ。
 中に入ると柱時計が掛けられた休憩場がある。木造の建物ならではのひんやりとした空気と、温泉の蒸気の質感が混ざった絶妙な湿気に身を委ねて脱衣所に行くと、浴室との間には仕切りがない。脱衣所から木の階段を下りていくと浴室という構造なので、脱衣所から浴室が見下ろせる。お湯は熱く、さすが湧出量日本一を誇る別府温泉の中の共同浴場と思わせるものがある。

 近くには、大正10年に完成したという現存する日本最古のアーケード「瓦小路」がある。細く短いアーケードにはスナックなどが並び、昔ながらの温泉街の面影を残す。別府という有名観光地にも、このような風景が残っている事に驚きながら夜の町を歩けば次第に空腹感が増す。
駅前通りに出て、昔ながらの食堂の姿をした店で、大分名物の「とり天」や「だんご汁」を食べてくつろぐ。もはや異国情緒ではなく、古きよき日本の原風景に触れる旅の気分になっていた。

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