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銭湯の娘

 三月の旅の話。三月に北海道の網走に行った事がある。凍てつく寒さの中、夕方網走に着いた私は、店が並ぶ通りで良さそうな郷土料理店を見つけ、オホーツクの海の幸を味わい、外は寒いのにビールなどを飲み店を出た。

 アーケードに掲げられたデジタルの気温計はマイナス15度を下回り、寒いを通り越して肌が痛いのだが、冬の北海道の旅も二日目を過ぎたあたりで体が慣れてきたのか、数字ほどは寒さを感じない。

 今夜はホテル宿泊ではなく札幌行き夜行列車(オホーツク10号)に乗るのだが、まだ時間はあるのと、風呂に入らないと落ち着かないため銭湯に向かった。 予め調べていた銭湯が駅の近くにあるのだ。

 川に架かる橋を渡り、やってきた銭湯は住宅街のはずれみたいな場所にある。暗闇でよくわからないが裏は林らしい。
 古い建物だが意外に大きい。しかし、人の気配がしない。サッシ戸を開け中に入ると、番台には中学年くらいの女の子が座っていた。
 私は銭湯が好きで旅先でよく入りに行くが、番台に女の子が座っているのは非常に珍しい。年頃の子がいれば悪ふざけをする男性客が現れるかもしれないから、まあ他では見かけないのは当然の事だろうと思う。

 トイレは汲み取り式、くだびれた壁、しかし天井が高く広い銭湯だ。そんな広い銭湯に今いるのは自分とこの子だけみたいである。
 更衣室も浴室も誰もいない。聞こえてくる音は自分が発する音だけだ。浴槽に浸かると暖かい筈が、外の寒さから解放された安堵からか身震いした。

 風呂から上がると、番台はおばさんに替わっていた。結局、自分以外のお客さんは入って来なかった。

 外を歩き始めて数分。駅に向かう橋を渡る頃には、髪に付いた水滴が凍り、試しにタオルを持ちながら歩いたら、駅に着く頃にはカチカチになった。

 私は北海道フリーきっぷという、指定券も無料購入出来る切符を使って夜行列車の指定券を入手済みなので、暖房の効いた待合室に入って発車時間を待つ。夜の網走駅は人も少なく、この寒さに歩く人もいない。ひっそりとした夜であった。

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