« 春を代表する花 | トップページ | PSPのバージョン »

氷見線

 初めて北陸を旅したのは3月だった。名古屋から特急「ワイドビューひだ」に乗り、飛騨川の渓谷美を眺めながら富山に着き、夕方富山県第二の規模の町である高岡に着いた。
 高岡の駅前には小さい規模ながらロータリーの地下に店が立ち並んでいて、そこで蕎麦を食べたあと、加越能鉄道万葉線という路面電車に乗って宿泊先のホテルを目指した。夜の路面電車は学校帰りの女の子や、買い物帰りのおばさんを僅かに乗せて、灯りがさほど多くない駅前通りを走った。

 翌朝、ホテル近くのJR氷見線の越中中川駅に向かった。越中(えっちゅう)とは富山県の昔の呼び名である。
 住宅地の中の小駅といった風情の越中中川は、高岡駅方面に向かう人は多いが、氷見に向かう人は少ない。やってきた氷見行きはやはり空いていた。

 列車はしばらく住宅地を走ると、やがて製紙工場が連なるエリアに入っていく。伏木という駅では工場が回りにそびえ、ホームの横には木材を積んだ貨車が停まっていた。
 およそローカル線らしくない眺めが続いた氷見線は、伏木を出ると右手前方に日本海を見せ始める。まっすぐに海に向かった列車は海の手前で大きく左にカーブし、ここからは海岸列車になる。堤防すれすれを往く。

 源義経が武蔵坊弁慶と雨宿りをしたという言い伝えがある雨晴海岸が近い雨晴(あまはらし)で降りてみたくなるが、このあとの予定が詰まっているため我慢して終点氷見に着いた。

 氷見は漁港の町でブリが有名だが、予定が詰まっているため時間がなく、すぐ引き返す。せめてと駅の写真を撮っていると男の子に声をかけられた。

 帰りの高岡行きは彼と合い席する事になった。彼は新宿区に住む高校生で、周遊券を使って北陸を旅しているという。
 驚いたのは宿泊代倹約のために、夜行列車を宿代わりにしているという話だった。周遊券は特急や急行の自由席に料金無しで乗れる。北陸本線には、大阪と新潟を結ぶ夜行急行「きたぐに」という列車があり、彼は「きたぐに」を宿代わりにして宿泊代をタダにしているのだ。
 さすがに、一週間に一回はホテルに泊まる予定です。と語る彼は疲れた様子もなく、二週間くらいの北陸の旅を満喫するのだそうだ。こういう貧乏旅行も学生時代ならではだなと思う私も周遊券で旅をしているが、私は三泊四日全てホテル宿泊である。今日はこれから福井だ。

 新潟方面に向かう彼と高岡に着いてから別れた。足取りは軽く、不思議な充実感を感じた。

|

« 春を代表する花 | トップページ | PSPのバージョン »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1081873/33623132

この記事へのトラックバック一覧です: 氷見線:

« 春を代表する花 | トップページ | PSPのバージョン »