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菜の花列車紀行

 春はよく房総半島に出かける。この時期の房総は、あちこちに菜の花が咲いている。菜の花の鮮やかな黄色は町に春を連れてくるように思えてくる。菜の花は千葉県の県花だ。

 私のオススメ房総巡りコースは、時計回りに回るルート。房総半島は広いので電車賃がかかるから青春18きっぷがお得だ。

 まず午前中は外房線の旅。大網、茂原、上総(かずさ)一ノ宮と過ぎていくと、だんだん景色も郊外の風景から農村的なものに変わっていく。東京からの快速も上総一ノ宮までである。
 いすみ鉄道の乗り換え駅である大原で降りて、バスなどを利用して九十九里海岸を見に行くのも良い。大原までのルートは、市原市の五井を起点とする小湊鉄道からいすみ鉄道を乗り継いでやってきても良い。房総の山地はさほど高くはないが、山越えの雰囲気は味わえる。

 外房線は御宿(おんじゅく)を過ぎたあたりから海岸線を往く。港町である勝浦で降りて魚介類を味わうのも良い。千葉を10時過ぎに出発すれば、勝浦の辺りで昼前だ。
 勝浦の先に行川アイランドという駅がある。「なめがわ」と読む。この駅は名前のテーマパークの最寄り駅だったのだが、閉園となってしまった現在は寂れた無人駅になってしまった。駅の回りは草むした空き地で無人地帯だが、駅前の国道は車が頻繁に通っている。そのギャップがもの悲しい。

 安房鴨川で外房線から内房線になる。鴨川は観光地なので海岸も賑やかだが、そういう雰囲気は求めていない人は更に先へ進んでみよう。外房線から内房線への接続は良い。

 安房鴨川から館山にかけては、よりひなびた沿線風景になっていく。安房鴨川~千倉は特急も走らず鈍行だけだから、小さな漁村を結ぶローカル線の趣きがある。江見(えみ)、和田浦、いずれの駅も海が近い。和田浦のホームには色とりどりの花が咲く。駅横の観光センターが貸してくれる貸し自転車が、「1日500円。2日で1000円」と安価なのも嬉しい。

 館山は駅前も広く、観光地だから土産物屋もある。駅から海岸への道も整備されていて風情には欠けるが、海岸の広々とした眺めは良い。そろそろ日が傾き始めた頃だ。内房線に乗るのを後にした理由は、夕日が海に沈むのを見るためである。内房線は、房総半島の西海岸を走る。
 夕日を眺めるなら静かな海岸を選びたい。保田(ほた)、浜金谷、上総湊、いずれもほどよく静かな海の町だ。
 浜金谷からは東京湾フェリーが横須賀市の久里浜港とを結んでいる。神奈川県の人には、フェリーを使った方が近道だ。乗り場は浜金谷駅前にあり、そこで魚介類のお土産も買える。甲板から夕日を眺めるのも良いものだ。ただし、春先は海が荒れる事も多いので注意。上総湊は線路脇にたくさんの菜の花が咲く。

 内房線は北上するにつれて、海岸はだんだん遠ざかっていく。元モーニング娘。の保田圭さんの出身地である大貫を過ぎ、やがて君津市、木更津市と入っていくと、もう都市電車の雰囲気が漂い始める。君津は東京からの快速の終点だから、やはり都市路線とローカル線との境目なのだろう。
 海岸は見えなくなってくるが、姉ヶ崎辺りの巨大煙突群の眺めには圧倒される。京葉工業地帯である。
 風景はローカル線のものではなくなってくるけれど、線路沿いには変わらず菜の花が咲き沿線を黄色に染めている事だろう。春が近い事を感じる眺めである。

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