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オリンパスXA の女

 写真家でカメラライターの田中長徳さん(以下、チョートク氏と表記)が昔初めて出したエッセイ「銘機礼賛」という本がある。雑誌に連載していたエッセイをまとめたもので、チョートク氏が気に入っているカメラと、そのカメラを語るエッセイだ。

 そのエッセイの中で一番好きなのが「オリンパスXAの女」というエッセイ。要約するとこんな話。

 ある時期、チョートク氏は年の離れた付き合っている子がいた。しかし、嘘が苦手なチョートク氏。奥さんに浮気がバレて三者面談となった。
 しかし、奥さんはなかなか出来た人で、彼女をなじる事はせず「あなたも写真を始めてみてはどう?」と勧める。
 写真を始めた彼女はオリンパスXAというマニュアル操作で使うコンパクトカメラを買う。スライドカバーによる開閉でレンズキャップが不要というデザインを一般的にした、その小さなボディはオリンパスペンの設計者である米谷美久さんの設計である。

 彼女はオリンパスXAを持ち歩き東京をスナップし続け、やがて雑誌に数ページ掲載されるくらいにまでなり、写真界話題の新人となる。
 そして、チョートク氏と久々に会う。
 チョートク氏に写真を褒められた彼女はこう言った。
 「XAを持って東京の街を歩いていると、風景が自分を撮ってくれと語りかけてくるように感じるの。だから夢中でシャッターを切る」
 そして、彼女はこう続けた。
 「好きな人にも会えずに、一日中カメラを持って街を歩いている女の気持ちなんて、あなたにはわからないでしょうね」

 やがて彼女は結婚し、それと同時に写真も辞める。

 このようなエッセイである。私は彼女がチョートク氏に語った言葉がとても印象的で、特に「好きな人にも〜」の行が好きだ。

 オリンパスXAというカメラは一見、丸みを帯びたプラスチッキーなカメラで(裏ぶたは金属製)、ハードオフあたりが勘違いしてAFコンパクトカメラと一緒にジャンク箱105円コーナーに置いてしまいそうな風貌だ。
 だが、軽いそのボディの軽快感はまさに「都会の風景を切り取る」のに最適であり、丸みを帯びたキュートなデザインが周りの者の警戒心を緩和させる。
 前面はプラスチックで温かいボディも、裏ぶたに手を掛けると金属だからひんやりと冷たい。顔は笑顔だが心には寒風吹く。そんな人こそ似合う一台。

 設計者の米谷さんはカメラファンにサインを求められるような有名人。米谷さんはダイヤモンドペンという工具でカメラにサインを刻んでくれたそうだ。
 オリンパスXAは裏ぶたが金属なので、そこにサインが入れられる。全てがプラスチックではないのも悪くはない。

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