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奥多摩駅

 東京都の北西部に青梅線という路線がある。多くの乗客でごった返す中央線の立川を起点として、多摩川に沿うような形で山間に入っていく路線だ。
 青梅までは郊外の平地の風景であり、武蔵野の雑木林と、奥多摩の山々を見上げる景色で、乗客も本数も多い。
 しかし、青梅を過ぎると線路は多摩川の上流に入っていき、景色は一変する。谷は深く、民家も減る。都内にこんな山深い所を往くローカル線があるのかと驚かされるが、次々と現れる駅はほとんどが無人駅だ。

 谷の崖を削って作ったような区間もあり、そういう場所から見下ろす多摩川の渓流は水が澄んでいる。
 ただ、ひとつ残念なのは走っている電車が中央線で走っているようなオレンジの通勤型電車な事くらいか。

 終点は奥多摩という駅だ。奥と付く地名だから、如何にも山奥の終着駅に思えるが、狭い駅前にはお土産屋などもあり、それなりに観光地の駅らしい佇まいだ。駅舎の形が山荘風のとんがり屋根なのも好ましい。

 細くカーブしたホームの先には大きなセメント工場があり、セメント用の貨車が停まっている。
 そのセメント工場の先を歩いていくと、林の中に錆びた線路跡が現れる。かつて、奥多摩湖のダムを建設する際に資材を運んだ貨物線の廃線跡だそうだ。
 このダムが出来て、奥多摩湖が形成された事で小河内(おごうち)村が湖底に沈んだ。川沿いの山村が湖底に沈み消えていくのはダムを作る上での宿命だ。

 奥多摩駅は昭和46年までは氷川駅と名乗っていたそうだ。今は東京都西多摩郡奥多摩町だが、かつては奥多摩町ではなく氷川(ひかわ)町であり、近隣の小河内村と古里(こり)村と合併して奥多摩町になったという。
 ダムに沈んだ村を偲んでか、ダムの名前は奥多摩ダムとかではなく小河内ダムという名前が付いた。駅名の方も昔の町の名である氷川のままで良かったと思うが、観光客のためには奥多摩が相応しいのだろう。

 しかし、都内にありながら、あまり大々的に観光宣伝されないのが好ましく感じられる奥多摩と奥多摩駅だ。
 急斜面の谷は、かなり圧巻であり、この辺りが国立公園に指定されているのが納得出来る眺めだ。

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